※はじめましての方は『※はじめに』をご一読下さいませ(心の自己防衛)
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『それは何故かと考えてしまえば、やはりどうしてもたった一つの結論に行き着いてしまうわけで』
主従以上恋仲未満。
お互い何となく気がついている、探り合い妹→←太。
主従以上恋仲未満。
お互い何となく気がついている、探り合い妹→←太。
【あつがりごっこ】
冬の夕暮れ時というものは、日中の天気に関わらず一日の中で最も急激に体感温度が下がる冷え込み時だ。
いつものジャージの上に襟巻トカゲの様に毛糸を巻き付け、予告なく部下の家を訪ねた聖徳太子は、激しく己の失態を悔いていた。
「はあうあああ!!さむいさむい寒い!!」
「いきなり押しかけて来てコタツを占拠した第一声がそれですか…」
「だって寒い!」
太陽の有難みというものを、改めて感じる。
夕闇を舐めていた。風の、空気のなんと暴力的なことか。
もはや冷えすぎて別な物質になっている気がする体を、ぶるりと震わせる。
(手袋と耳当てと上着も装備するべきだったか…いや、むしろ全身タイツ?)
まあ今更何を考えても後の祭りなのだが。
そんながちがち歯を鳴らす太子を流石に不憫に思ったのか、それまで鬱陶しさを隠さず顔に張り付けていた妹子が、表面上心配するようなそぶりを見せた。
「本当に寒そうですね」
「本当に寒いんだよ!」
当たり前なことを聞くな、とばかりに声を張り上げると盛大に溜め息をつかれた。
自分の上司に対し、もはや呆れを隠すそぶりも見せないその潔さ。いっそ好感が持てる気さえする。逆に。
「……ああもう…本っ当しょうがない人ですね…あったかいスープとコーヒーと紅茶どれが良いですか?」
「緑茶!」
「はいはい」
台所へと向かう背中が、面倒臭そうに返事を返してくるのをその姿が見えなくなるまでじっと見送って。
太子はべすんと机に顔を伏せた。
(うわあ、気付いてしまった…)
見てしまった。
やれやれと言わんばかりの気怠さで動きを見せたあの指先が、質問を投げるより前にすでに卓上の急須の取っ手に絡んでいたのを。
そこまでわかってるならきくなよ、と言おうとして、瞬時にやめた。
それはつまり、そこまで理解されてるのだという自惚れを認める事になる。それは逆に、かなり恥ずかしい。
今の自分達の姿に、熟年の老夫婦がかぶさって見えてなんだか複雑な心境のまま妹子を待った。
「はいどうぞ」
「…おー」
あー生き返るー。
まるで仕事帰りの一杯を口にした過酷労働者のようなセリフとともに、熱い湯のみを傾ける。
ほう、と口から漏れる感嘆の溜息。
それを呆れた顔で見つめていた妹子が、ふいに口を開いた。
「…それにしても太子、寒がりな癖にわざわざ日が落ちてから僕の家くるなんて…本当馬鹿……否、お馬鹿なんですね」
「丁寧に言い直したのが逆に腹立つな!!誰がお馬鹿だ!それに私は寒がりじゃない。お前みたいに体から始終アルコール分泌してるわけじゃないから仕方ないんだ!!」
「何度も言ってますが僕と芋焼酎は全くの無関係です。貴方の脳味噌と違って僕は発酵したり出来ないんで」
ふうふうと自身の湯のみを冷ましながら、ぴしゃりと切り捨てる妹子をぎりぎり睨み付ける。
おのれ五位の癖に。
「…発酵ってお前…この毒舌猫舌芋が…!!」
「うるさいな!…っていうか、え?なんで知ってるんですか?!」
「馬鹿にすんな!見てりゃわかるよそんなの!!…あ、でも猫舌とか言うけど熱い食べ物が駄目なのって猫じゃなくてむしろ犬の事らしいぞ?」
「……そうなんですか。流石犬好き…詳しいですね」
「おうよ。わんちゃん大好き!」
ぽんぽん次から次へわき出る会話。
ほんの数分というわずかな間で、驚いたり叫んだり怒鳴ったり関心したり、全く忙しない自分達。
けれど、こんなやりとりをお互い、存外に気に入っちゃっているんだよなぁ…と太子は苦笑する。
様々な人間と、様々な言葉遊びをする日々のなかで、自分は彼と通わすこんな他愛もないやりとりを、特別気に入っている。
それは何故かと考えてしまえば、やはりどうしてもたった一つの結論に行き着いてしまうわけで。
「あー、やっぱりわんちゃん大好き」
「二回も言わなくたって知ってますよ」
「うん。…だから妹子も犬舌なんだな、きっと」
「…っげほっ?!!」
ずずずと茶をすすっていた妹子が盛大にむせだすのを横目に、何だか急にずいぶん暑くなった気がする室内温度から逃げるように、太子は顔を机に伏せた。
(ほらみろ、私は寒がりなんかじゃないんだってば)
(じゃなきゃ、わざわざお前とこんなことを言いあう為だけに今、ここに居るもんかい!)
ぬるい机の温度すら心地よい頬は、比例する熱を持て余してこんなにもあつい。
■■END■■
+++++++
じれった妹太!
じりじりとしつつ多分それすらもどこかで楽しんでるかもしれない二人。
あえて明確な表現を避ける太子の裏側には、大人の狡さと妹子に対する太子なりの気遣いがあればいい。
いざというときのお互いの逃げ道をつくりつつ、きっとそういうことは自分から言いたがる性質であろう妹子に華を持たせてやろう的な。
…私は本当上司に夢見過ぎだな!!
冬の夕暮れ時というものは、日中の天気に関わらず一日の中で最も急激に体感温度が下がる冷え込み時だ。
いつものジャージの上に襟巻トカゲの様に毛糸を巻き付け、予告なく部下の家を訪ねた聖徳太子は、激しく己の失態を悔いていた。
「はあうあああ!!さむいさむい寒い!!」
「いきなり押しかけて来てコタツを占拠した第一声がそれですか…」
「だって寒い!」
太陽の有難みというものを、改めて感じる。
夕闇を舐めていた。風の、空気のなんと暴力的なことか。
もはや冷えすぎて別な物質になっている気がする体を、ぶるりと震わせる。
(手袋と耳当てと上着も装備するべきだったか…いや、むしろ全身タイツ?)
まあ今更何を考えても後の祭りなのだが。
そんながちがち歯を鳴らす太子を流石に不憫に思ったのか、それまで鬱陶しさを隠さず顔に張り付けていた妹子が、表面上心配するようなそぶりを見せた。
「本当に寒そうですね」
「本当に寒いんだよ!」
当たり前なことを聞くな、とばかりに声を張り上げると盛大に溜め息をつかれた。
自分の上司に対し、もはや呆れを隠すそぶりも見せないその潔さ。いっそ好感が持てる気さえする。逆に。
「……ああもう…本っ当しょうがない人ですね…あったかいスープとコーヒーと紅茶どれが良いですか?」
「緑茶!」
「はいはい」
台所へと向かう背中が、面倒臭そうに返事を返してくるのをその姿が見えなくなるまでじっと見送って。
太子はべすんと机に顔を伏せた。
(うわあ、気付いてしまった…)
見てしまった。
やれやれと言わんばかりの気怠さで動きを見せたあの指先が、質問を投げるより前にすでに卓上の急須の取っ手に絡んでいたのを。
そこまでわかってるならきくなよ、と言おうとして、瞬時にやめた。
それはつまり、そこまで理解されてるのだという自惚れを認める事になる。それは逆に、かなり恥ずかしい。
今の自分達の姿に、熟年の老夫婦がかぶさって見えてなんだか複雑な心境のまま妹子を待った。
「はいどうぞ」
「…おー」
あー生き返るー。
まるで仕事帰りの一杯を口にした過酷労働者のようなセリフとともに、熱い湯のみを傾ける。
ほう、と口から漏れる感嘆の溜息。
それを呆れた顔で見つめていた妹子が、ふいに口を開いた。
「…それにしても太子、寒がりな癖にわざわざ日が落ちてから僕の家くるなんて…本当馬鹿……否、お馬鹿なんですね」
「丁寧に言い直したのが逆に腹立つな!!誰がお馬鹿だ!それに私は寒がりじゃない。お前みたいに体から始終アルコール分泌してるわけじゃないから仕方ないんだ!!」
「何度も言ってますが僕と芋焼酎は全くの無関係です。貴方の脳味噌と違って僕は発酵したり出来ないんで」
ふうふうと自身の湯のみを冷ましながら、ぴしゃりと切り捨てる妹子をぎりぎり睨み付ける。
おのれ五位の癖に。
「…発酵ってお前…この毒舌猫舌芋が…!!」
「うるさいな!…っていうか、え?なんで知ってるんですか?!」
「馬鹿にすんな!見てりゃわかるよそんなの!!…あ、でも猫舌とか言うけど熱い食べ物が駄目なのって猫じゃなくてむしろ犬の事らしいぞ?」
「……そうなんですか。流石犬好き…詳しいですね」
「おうよ。わんちゃん大好き!」
ぽんぽん次から次へわき出る会話。
ほんの数分というわずかな間で、驚いたり叫んだり怒鳴ったり関心したり、全く忙しない自分達。
けれど、こんなやりとりをお互い、存外に気に入っちゃっているんだよなぁ…と太子は苦笑する。
様々な人間と、様々な言葉遊びをする日々のなかで、自分は彼と通わすこんな他愛もないやりとりを、特別気に入っている。
それは何故かと考えてしまえば、やはりどうしてもたった一つの結論に行き着いてしまうわけで。
「あー、やっぱりわんちゃん大好き」
「二回も言わなくたって知ってますよ」
「うん。…だから妹子も犬舌なんだな、きっと」
「…っげほっ?!!」
ずずずと茶をすすっていた妹子が盛大にむせだすのを横目に、何だか急にずいぶん暑くなった気がする室内温度から逃げるように、太子は顔を机に伏せた。
(ほらみろ、私は寒がりなんかじゃないんだってば)
(じゃなきゃ、わざわざお前とこんなことを言いあう為だけに今、ここに居るもんかい!)
ぬるい机の温度すら心地よい頬は、比例する熱を持て余してこんなにもあつい。
■■END■■
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じれった妹太!
じりじりとしつつ多分それすらもどこかで楽しんでるかもしれない二人。
あえて明確な表現を避ける太子の裏側には、大人の狡さと妹子に対する太子なりの気遣いがあればいい。
いざというときのお互いの逃げ道をつくりつつ、きっとそういうことは自分から言いたがる性質であろう妹子に華を持たせてやろう的な。
…私は本当上司に夢見過ぎだな!!
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自己紹介:
名:べに釦(べに ぼたん)
性:凹
血:B
誕:聖チョコ祭り前日
・本能のままに生きる20代の社会人(斜怪人?)
・基本的に人見知りチキン
・下手の横好きな文字書き。落描きもする
・マイナー/雑食/熱しにくいが火が点くと一瞬。そして永い
・ギャップもえ。基本的に受けっ子さん溺愛
・好きキャラをいじめ愛でるひねくれ者
・複数CPの絡むとかもう大好物。らぶ!
・設定フェチ。勝手に細かい裏設定を偽造して自家発電
さらに濃ゆい版の詳細は※
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