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※はじめましての方は『※はじめに』をご一読下さいませ(心の自己防衛)


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一日遅れながら便乗!!
バレンタインネタ鬼閻話
逆チョコにおける冥界事情と鬼&閻事情

※甘いどころか何か淡白っぽい
※無駄にだらだら続く

以上、大丈夫な方以下の叫びよりどうぞ


++++++++++



「はい、どうぞ」
「……は?」


 どちゃり。
 抱えていた大箱を逆さにすることで、きらきらでピンクぴんくした塊達がどさっと机に広がる。

 毎日業務後に自分が入れるコーヒーを楽しみにしていたであろう上司は、目の前におかれた予想と違うその物体と鬼男を、怪訝な、それこそまるで前科持ちの死者でも見るようなまなざしで交互に見つめた。




【許容線オーバーリミット】



 確かに。
 いくら就業時間を終えた後とはいえ、裁きの空間にはあまりに不釣り合いなそれらの色味を『堅物秘書』な自分が広げたというその行動はきっと奇異そのものだ。

 その反応も仕方ないのかもしれない。
 そう自身に言い聞かせて、鬼男は目の前で失礼な目線をびしびし投げつける上司兼恋人に爪を突き刺したい衝動を堪える。

 不審そうに、キラキラの包装紙を一つ摘んで持ち上げる白い指先。
 考えるような仕草は一瞬で消え、すぐに何やら思い至ったようにああと声をあげた閻魔が、にやりと笑みを浮かべた。


「これ、全部今日の戦利品かい?」
「…戦利品という言い方はどうかと思いますが。女性職員とその他もろもろから、大王と僕と宛てに頂いた物です」

 恋人たちの愛を尊び命を落とした聖人にあやかった愛の日にして、菓子業界の書入れ時。
 所謂、聖バレンタインディ。


「今年は皆落ち着いてるなぁって思ってたんだけど、そうでもなかったんだねぇ。ここ最近で一番多いんじゃない?この量」
「まあ仮にも閻魔大王の前では、浮かれるのは多少自重していたんでしょう」
「仮にもって君…っていうかオレとしてはさっきの『その他諸々』というのが非常に気になるんだけども」
「聞くな」


 ふい、と閻魔から視線をそらす鬼男の仕草と、自身の手にしていた贈り物にぶら下がったメッセージタグを見て事情を察したらしい閻魔が、先ほどより音量とからかいとを抑えた声色でつぶやく。ああなるほどね。そう言って苦笑い。

「今年は…珍しいご新規さんが多いのかな?」



 そう。今回は随分と奇抜…というか予想外な事態が多々あった。
 この山積みの甘い塊達の贈り主の、三割は同性だということだ。


 例えば…部屋の前や机の上などそこかしこに忍ばされていた贈り物の、手書きのメッセージカードの口調や文字の癖が男のそれだったり。
 こちらに押付けるように渡し逃げをしていく後ろ姿が、あきらかに男のそれだったとか。


 しかも一人二人ではなく、今日一日だけで何人も。
 それが今年に限って何故こんな急に。
 それが解せない。
 不測の事態には強い方だが、あまり一般的な筋書きや予想、セオリーを崩される事態は好みではないのだ。


 そんな鬼男の考えが顔に出ていたのであろう。ぽつりと、助け船のように閻魔は言葉を足した。


「今年はね、逆チョコってのが流行っているらしいよ」
「はあ…」
「だからさ。買いやすかったし、渡しやすかったんだよきっと」


 わずかに間を置いて、笑う。  
ふふふ、と少しトーンを下げた含み笑い。


「普段の感謝とか、感謝ってカモフラージュに託した意中の相手への本命チョコとか、さ」
「は?」


 いきなり何をいうんだ、この王は。


「…君は自覚ないみたいだけど。鬼男君はとても面倒見いいし。仕事には厳しいけれどちゃんと人を認めてあげられる褒め上手さんだから、すごく下に好かれるタイプなんだよ君。異性問わず人気あるんだぞー鬼男君は」
「はあ…そう、ですか?」
「そうなんだよ!この数がその証拠!!」
「いや、これ全部が僕にってわけじゃないですし。アンタの分も多々あるし」
「あ、そうだっけ?…むむむ…さてはオレに高いお返しを期待してるな、女性陣」


 段々と話が逸れていく。
 発言の真意を尋ねる前に、うまくはぐらかされた気がして腑に落ちない。

 大王、と呼び掛けた声も、不満声でのコーヒーが飲みたいんだコールに阻まれて皆まで言わせてもらえず。結局そのままその場を後にすることになった。


(…全く、何なんだ!!)


 普段の親馬鹿ぶった激励の類とも違う、言葉遊びのからかいとも違う温度差に首をかしげながら離れの給湯室へと向かう。


 不完全燃焼極まりないこの違和感。
 何なんだ、本当。


 この日には、これまでも確かに色々あった。人並みには。
 本命チョコ云々に対する多少のいざこざや、思春期男子のような茶化しあい、悪趣味としか思えない様な悪ノリ便乗等々。
 けれど、この日にソレを他者から受け取る事に関してはお互い暗黙の了解だったはずだ。


(嫉妬?……まさか。この数十年、この日に関してだけは今の今まで何も口を挟まなかったあの大王が?今更だろ)


 
 推測の域を出ない憶測は、自分に都合がいいものばかりで当てにならない。


(けど、それでも…!)



 どうしようもなく引っ掛かりを覚えて、鬼男は目的地に背を向け踵を返した。
 見逃してしまってはいけない、タイミングを間違ってはいけない、そんな何かがそこにある予感がして。






+++++++++++++++++++
長くなったので、一幕。
だらだら続く!


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HN:
べに釦
性別:
女性
自己紹介:
名:べに釦(べに ぼたん)
性:凹
血:B
誕:聖チョコ祭り前日

・本能のままに生きる20代の社会人(斜怪人?)
・基本的に人見知りチキン
・下手の横好きな文字書き。落描きもする
・マイナー/雑食/熱しにくいが火が点くと一瞬。そして永い
・ギャップもえ。基本的に受けっ子さん溺愛
・好きキャラをいじめ愛でるひねくれ者
・複数CPの絡むとかもう大好物。らぶ!
・設定フェチ。勝手に細かい裏設定を偽造して自家発電

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