※はじめましての方は『※はじめに』をご一読下さいませ(心の自己防衛)
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『それはお互い様がめぐりめぐった自業自得』
『二人は、あんまりにも似すぎていた』
※太子と閻魔が仲良し(シリーズ越えです)
※太閻太
※妹←太、鬼←閻が大前提な太閻太
※薄暗い
拙宅の太閻太の始まりのお話…というよりは、私の中の聖魔の基盤はこんなんですよ、的な趣味に走った話となっております。
…上記の事が大丈夫!という方は続き~よりどうぞ。
++++++++++++++
『二人は、あんまりにも似すぎていた』
※太子と閻魔が仲良し(シリーズ越えです)
※太閻太
※妹←太、鬼←閻が大前提な太閻太
※薄暗い
拙宅の太閻太の始まりのお話…というよりは、私の中の聖魔の基盤はこんなんですよ、的な趣味に走った話となっております。
…上記の事が大丈夫!という方は続き~よりどうぞ。
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約束をしていたわけではないけれど。
なんとなく、そろそろかなぁという予感がした。
【とける、春】
クローバーを愛でながら日向ぼっこ。
そんなひとときを楽しみに訪れたこの緑の絨毯を敷き詰めた日だまりは、太子のお気に入りの場所だった。
「お?おおおー!!久しぶりだな!」
「うん、久しぶり!!」
そしてそんな愛しい景色の中に見つけた、いつもとは違う風景。
桜を背に立ちにんまりと笑う男に向かって、太子はボールに飛びつく犬のごとくまっしぐらに走り寄った。
会える、という予感が当たって嬉しかったのもあったし。
何より、積もる話を早く聞かせたくて、早く聞きたくてしかたがなかった。
(まあ、つまりは、会いたかったんだ)
(…なんだかまるで、恋仲みたいだなこれって)
呟いてみたらまんざらでもなくて、くすぐったい。
その照れ隠しに目標にむかって加速し、自慢のボディアタックで盛大に飛び込んだ。
「うおりゃああ!!」
「うわわ!!ちょ、いきなりそれ?!!」
男は、そんな太子を受け止めるべきか避けるべきかおろおろと迷っていたようだが、とりあえず受け止めることにとしたらしい。
正面で手を構えて、がしり。
「っわわっ!!」
けれど衝撃すべては受け流しきれずに、結局どさりと盛大に尻餅をついた。
「ちょっと、もう!いきなりなにするのさ」
少し怒ったよな口調で太子をたしなめがら、それでもにまにまと笑っている男に太子も負けじにへにへと笑いかける。
にへり。へらり。
そのやりとりには、影も含みも何もない。
そんな些細なことが嬉しくて楽しくて仕方なくて、ついまたにやにやしてしまう。
「だって久しぶりだったんだもん。仕方ないだろ?許せ」
「わぁ強引!全く君は相変わらずだねぇ」
「そういうお前だって。こうやって気まぐれに現れる所とか十分強引だぞ!」
「そう?」
「そう!」
そうしてまた、くすくす笑い合う。
それが二人の、秘密の時間の始まりの合図だ。
彼と自分との、この名前のない逢瀬の始まりはちょうど三ヶ月程前のことだった。
あけおめー、だなんて挨拶にもいい加減うんざりしていたそんな時期。ある日の真夜中。
あんまりに寒くて寝付けない体をもてあまし、これはまさか雪でも降ってるんじゃないか!と妙にハイな気分になった太子は、寝室を抜け出して渡り廊下をぺたぺたと歩いていた。
そうして冷たい白を探して庭を見ていたその時。
お目当てとはずいぶんと異なるその白が、池に薄く張られた氷の上にふわりと降り立ったのだ。
「……んんん?」
闇夜の中。
ましてや視力の悪い自分だったから、それが『人型』であると認識するのに少し時間がかかった。
それは一人の男だった。
こちらは寝巻の上にさらに半纏まで着込んでいるというのに、よりにもよって着物一枚という薄着で水面に立っている細身の男。
後ろにゆるく流して結んだ黒髪。毛先は肩で比較的元気にはねているのに、微塵も健康的さは感じられないその第一印象。
裾から見える素足は白くて、着物の合わせ目から見える肌もやっぱり白かった。
今にして思えばツッコミ所ばかりな初対面であったが、生憎と太子の得意分野はどちらかといえば突っ込まれる方の人だった。
彼のぶっ飛んだ登場にも大した疑問も抱かず、不思議も不審も感じることもなく。
そうして『こんばんはでおまー』から始まった他愛のない挨拶がいつのまにか、まるで秘め事みたいに逢瀬を繰り返す仲へとなっていた。
狙って現れたにしては、太子と目があった瞬間の彼はまるで雪山で熊にでも出くわしたかのように心底驚いたような顔をしていたし。
その拍子に氷を踏み抜き、セルフ池ポチャするという失態もしていたし。
だから多分、これは色々なたまたまが重なって生まれた偶然の出会いだったのだろう。
太子は男の素性を深く聞こうとはしなかったし、男もまたこちらに必要以上に踏み込もうとはしなかった。
男は太子にとっては『お前』で。
男にとっての太子は『君』だった。
話題に上がるのはもっぱらお互いの部下のことばかり。
愚痴とも惚気ともつかぬような話をしたり、されたり。
刺されたとか、殴られたとか、愛想尽かされたとか。
怒られたとか、叱られたとか、罵倒されたとか。
そんな互いの話に感じるのは、安堵にも似た同調感だった。
よく似た互いの境遇や関係を聞くことが、ひどく心地好くて。楽しくて。
逢瀬の頻度も滞在時間もすこしずつ確実に増えていって。
(でも……それがきっと、良くなかったんだなぁ)
時折、近い何かをわざわざ遠くのものとして見ようとしているかのように目を細めて、くしゃりと笑う彼を見て。
なんとなくわかってしまった。
きっと彼はその秘書がいっとう、特別な意味で大切なのだということ。
(そしてそれはきっと、彼が厳重にしまい込んだ、きっと他人がうっかり触れてはいけない部分だったのに)
(それを私はうっかり、無遠慮に見つけてしまったのだ)
→2
++++++++++
長くなったのでここで分割。
なんとなく、そろそろかなぁという予感がした。
【とける、春】
クローバーを愛でながら日向ぼっこ。
そんなひとときを楽しみに訪れたこの緑の絨毯を敷き詰めた日だまりは、太子のお気に入りの場所だった。
「お?おおおー!!久しぶりだな!」
「うん、久しぶり!!」
そしてそんな愛しい景色の中に見つけた、いつもとは違う風景。
桜を背に立ちにんまりと笑う男に向かって、太子はボールに飛びつく犬のごとくまっしぐらに走り寄った。
会える、という予感が当たって嬉しかったのもあったし。
何より、積もる話を早く聞かせたくて、早く聞きたくてしかたがなかった。
(まあ、つまりは、会いたかったんだ)
(…なんだかまるで、恋仲みたいだなこれって)
呟いてみたらまんざらでもなくて、くすぐったい。
その照れ隠しに目標にむかって加速し、自慢のボディアタックで盛大に飛び込んだ。
「うおりゃああ!!」
「うわわ!!ちょ、いきなりそれ?!!」
男は、そんな太子を受け止めるべきか避けるべきかおろおろと迷っていたようだが、とりあえず受け止めることにとしたらしい。
正面で手を構えて、がしり。
「っわわっ!!」
けれど衝撃すべては受け流しきれずに、結局どさりと盛大に尻餅をついた。
「ちょっと、もう!いきなりなにするのさ」
少し怒ったよな口調で太子をたしなめがら、それでもにまにまと笑っている男に太子も負けじにへにへと笑いかける。
にへり。へらり。
そのやりとりには、影も含みも何もない。
そんな些細なことが嬉しくて楽しくて仕方なくて、ついまたにやにやしてしまう。
「だって久しぶりだったんだもん。仕方ないだろ?許せ」
「わぁ強引!全く君は相変わらずだねぇ」
「そういうお前だって。こうやって気まぐれに現れる所とか十分強引だぞ!」
「そう?」
「そう!」
そうしてまた、くすくす笑い合う。
それが二人の、秘密の時間の始まりの合図だ。
彼と自分との、この名前のない逢瀬の始まりはちょうど三ヶ月程前のことだった。
あけおめー、だなんて挨拶にもいい加減うんざりしていたそんな時期。ある日の真夜中。
あんまりに寒くて寝付けない体をもてあまし、これはまさか雪でも降ってるんじゃないか!と妙にハイな気分になった太子は、寝室を抜け出して渡り廊下をぺたぺたと歩いていた。
そうして冷たい白を探して庭を見ていたその時。
お目当てとはずいぶんと異なるその白が、池に薄く張られた氷の上にふわりと降り立ったのだ。
「……んんん?」
闇夜の中。
ましてや視力の悪い自分だったから、それが『人型』であると認識するのに少し時間がかかった。
それは一人の男だった。
こちらは寝巻の上にさらに半纏まで着込んでいるというのに、よりにもよって着物一枚という薄着で水面に立っている細身の男。
後ろにゆるく流して結んだ黒髪。毛先は肩で比較的元気にはねているのに、微塵も健康的さは感じられないその第一印象。
裾から見える素足は白くて、着物の合わせ目から見える肌もやっぱり白かった。
今にして思えばツッコミ所ばかりな初対面であったが、生憎と太子の得意分野はどちらかといえば突っ込まれる方の人だった。
彼のぶっ飛んだ登場にも大した疑問も抱かず、不思議も不審も感じることもなく。
そうして『こんばんはでおまー』から始まった他愛のない挨拶がいつのまにか、まるで秘め事みたいに逢瀬を繰り返す仲へとなっていた。
狙って現れたにしては、太子と目があった瞬間の彼はまるで雪山で熊にでも出くわしたかのように心底驚いたような顔をしていたし。
その拍子に氷を踏み抜き、セルフ池ポチャするという失態もしていたし。
だから多分、これは色々なたまたまが重なって生まれた偶然の出会いだったのだろう。
太子は男の素性を深く聞こうとはしなかったし、男もまたこちらに必要以上に踏み込もうとはしなかった。
男は太子にとっては『お前』で。
男にとっての太子は『君』だった。
話題に上がるのはもっぱらお互いの部下のことばかり。
愚痴とも惚気ともつかぬような話をしたり、されたり。
刺されたとか、殴られたとか、愛想尽かされたとか。
怒られたとか、叱られたとか、罵倒されたとか。
そんな互いの話に感じるのは、安堵にも似た同調感だった。
よく似た互いの境遇や関係を聞くことが、ひどく心地好くて。楽しくて。
逢瀬の頻度も滞在時間もすこしずつ確実に増えていって。
(でも……それがきっと、良くなかったんだなぁ)
時折、近い何かをわざわざ遠くのものとして見ようとしているかのように目を細めて、くしゃりと笑う彼を見て。
なんとなくわかってしまった。
きっと彼はその秘書がいっとう、特別な意味で大切なのだということ。
(そしてそれはきっと、彼が厳重にしまい込んだ、きっと他人がうっかり触れてはいけない部分だったのに)
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名:べに釦(べに ぼたん)
性:凹
血:B
誕:聖チョコ祭り前日
・本能のままに生きる20代の社会人(斜怪人?)
・基本的に人見知りチキン
・下手の横好きな文字書き。落描きもする
・マイナー/雑食/熱しにくいが火が点くと一瞬。そして永い
・ギャップもえ。基本的に受けっ子さん溺愛
・好きキャラをいじめ愛でるひねくれ者
・複数CPの絡むとかもう大好物。らぶ!
・設定フェチ。勝手に細かい裏設定を偽造して自家発電
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