※はじめましての方は『※はじめに』をご一読下さいませ(心の自己防衛)
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『それを所謂惚れた弱みと呼ぶ事は、とっくに自覚している』
・5/23 キスの日ログ
・鬼閻
リアタイにてこそっと便乗してました(笑)
以下、続き~よりどうぞ。
++++++++++++++
・5/23 キスの日ログ
・鬼閻
リアタイにてこそっと便乗してました(笑)
以下、続き~よりどうぞ。
++++++++++++++
「ねぇ、鬼男くん。キスしてもいい?」
ぶしゃあっ。
目の前にいる上司の唐突な申し出に、鬼男は飲んでいた緑茶を盛大に噴いた。
落とした茶碗の行く末は破壊。
がしゃんと響いたその音は、平和なハズだった日常の一コマが崩れた瞬間だった。
「っ……はああ?!!」
「だから、キスしていい?って聞いてるんだよ」
上目遣いで、くいくいと鬼男の服の裾を引くその仕種は女性が行えばひどく可愛らしい仕草で。
きっと、たいていの男はお願いを聞いてしまいそうな威力を発動するのだろうと思う。
だが生憎、仕掛けている彼は男で青年というにはいささか無理があるようなおっさんで。
仕掛けられている相手が、意地っ張りなその上輪を掛けた照れ屋な自分なのだ。
無論そんなことになるわけがない。
出来うる限り盛大にのけ反りながら、握られた裾からぱしりと閻魔の指を振り払った。
「はぁ…バカな事いわないでくださいイキナリ。何で僕がそんなことしなきゃ…!」
「誰もしろなんて言ってないだろ!オレが、してもいい?って聞いてるんだよ」
言い直された言葉を考える。
(いや、結果としては大して変わらないだろう!!)
「だ…駄目に決まってんでしょうこの阿呆!まだ勤務中ですよ?」
「でも今は休憩中だし。いーじゃないかキスのひとつやふたつ!キスさせてキスさせろー!」
「よくない!っていうかそんないかにも駄目男な台詞を連呼するな!!」
「じゃあ、ちゅーちゅーちゅー!!」
「言い方変えても駄目なもんは駄目です」
「……ぶー。なんだよ鬼男くんの意地悪ー。ケチ鬼。鬼畜っ」
意地悪とかそういう問題ではないと思う。
はあと溜め息をひとつ吐いた鬼男は、目の前でぶちぶち文句をいう上司をじっと見つめた。
別に、嫌悪の感情から言ってるわけじゃないのだけれども。それとこれはまた話が違う。
キスしていい?勿論いいですよ、なんてあっさり答える自分を想像して鳥肌がたった。
ガラじゃない。
嫌なわけではなくとも、やはり自分らしさは大事にしたい。
白黒きっちりタイプな自分としては、勤務という黒の中に急に甘さの白を求められてもなかなか割り切れないのだ。
「………で、誰に何を吹き込まれたんですか?貴方は」
「え?」
「アンタが何か突拍子もないこと言い出すときは、大体下界絡みの何かだろ」
「正解!!…今日はさ、下界ではキスの日らしいんだよ」
…また何て露骨な日だ。
眉間によったシワを自覚しながら、鬼男は声を潜めて呟いた。
「……別にキスくらい、理由付けなくたってしてくるでしょう、アンタは」
「…だってさぁ………オレ達ってさ、ちゃんと言葉で確認してからする事、あんまりないじゃない」
「いや……それはだって、」
「…ふいうちで隙を見計らってとか、理由があってしかたなくとか、罰ゲームだとか…」
「…言葉がなくとも、雰囲気でわかるでしょう?」
「オレは、言葉もあげたいよ」
伏せられた瞼に力が込められ、まつげがふるふると揺れる。
なんだこの、妙な展開は。
いつのまにか雲行きが怪しくなってきた閻魔との会話に、ぎくりとする。
(ああ、やばい。このまま行くと絶対変な落ち込み方しだすぞ…このイカ)
もしくは、やっぱりいいやと、また苦笑いで飲み込んでしまうかもしれない。
そこまで考えた瞬間、鬼男の中にあった『自分らしさ』への意地は、あっさりと『閻魔優先』に傾いた。
「……っあーもう!しっかたないですねっ」
「え…いいの?!」
(ああくそっ…緩すぎだろ僕…)
ぱああっと途端明るくなった表情に、あいかわらずいそがしい人だなと思いながら。しぶしぶ、といった装いで頷いた。
まあ男には、たまには折れなきゃいけない時もある…と思うしかない。
…それを所謂惚れた弱みと呼ぶ事は、とっくに自覚している。
「ちゃっちゃとやって、さっさと終わして下さい」
さて、と覚悟を決めて目を閉じる。
…そのまま腕を組んでじっと待つが、どうにもこうにも落ち着かない。
男としてどうなんだろうこの図は。そう思うと、この無防備っぷりがなんとも情けない。
(……っていうか、まだかよ)
こっそり薄目を開けて見れば、目を瞑ってこわごわと顔を近付けて来る閻魔の顔があった。
それでもまだまだ触れるには程遠いが。
「……大王」
「…なに」
「まさか。照れてるんですか?普段あれだけ色々してくる癖に。今更」
「う、うるさいっ。黙って!!」
普段は思い切りが良いくせに、変な所で一歩引くというか腰を引くというか…改まると駄目なタイプ。
それが、閻魔という人物だということを鬼男はよく知っている。
「…………」
「…無理なら、」
「で、できるよ!ちょっと緊張してるだけだ!」
そして発破をかければあっさりと乗る、負けず嫌いな部分があることもよく知っている。
……まあそこが可愛くなくもないから、このまま直さずにいてほしかったりもする。
そんな、口にだしたら惚気にしかならないようなことを考えていた鬼男に、ようやく閻魔の唇が触れた。
「……っあー!やっぱ駄目だね!前置きあると凄い照れる…!!いつもと違うことはするもんじゃないねぇ」
ぱっと離れて。へらりと照れ笑い。
一人で勝手に自己完結をして、ご機嫌に笑っている閻魔を、鬼男はただただ見つめた。
「……………」
何だこの肩透かし。
(あれだけ前フリしといてお前………頬かよ!!)
【そうして今日も僕の負け】
END
+++++++
肩透かしムッツリオニオン。
誰も唇にするなんて言ってない。
残念だったね…!!(笑)
というわけでちゅーの日でした!!
H22.5.23
(6.2 一部修正)
ぶしゃあっ。
目の前にいる上司の唐突な申し出に、鬼男は飲んでいた緑茶を盛大に噴いた。
落とした茶碗の行く末は破壊。
がしゃんと響いたその音は、平和なハズだった日常の一コマが崩れた瞬間だった。
「っ……はああ?!!」
「だから、キスしていい?って聞いてるんだよ」
上目遣いで、くいくいと鬼男の服の裾を引くその仕種は女性が行えばひどく可愛らしい仕草で。
きっと、たいていの男はお願いを聞いてしまいそうな威力を発動するのだろうと思う。
だが生憎、仕掛けている彼は男で青年というにはいささか無理があるようなおっさんで。
仕掛けられている相手が、意地っ張りなその上輪を掛けた照れ屋な自分なのだ。
無論そんなことになるわけがない。
出来うる限り盛大にのけ反りながら、握られた裾からぱしりと閻魔の指を振り払った。
「はぁ…バカな事いわないでくださいイキナリ。何で僕がそんなことしなきゃ…!」
「誰もしろなんて言ってないだろ!オレが、してもいい?って聞いてるんだよ」
言い直された言葉を考える。
(いや、結果としては大して変わらないだろう!!)
「だ…駄目に決まってんでしょうこの阿呆!まだ勤務中ですよ?」
「でも今は休憩中だし。いーじゃないかキスのひとつやふたつ!キスさせてキスさせろー!」
「よくない!っていうかそんないかにも駄目男な台詞を連呼するな!!」
「じゃあ、ちゅーちゅーちゅー!!」
「言い方変えても駄目なもんは駄目です」
「……ぶー。なんだよ鬼男くんの意地悪ー。ケチ鬼。鬼畜っ」
意地悪とかそういう問題ではないと思う。
はあと溜め息をひとつ吐いた鬼男は、目の前でぶちぶち文句をいう上司をじっと見つめた。
別に、嫌悪の感情から言ってるわけじゃないのだけれども。それとこれはまた話が違う。
キスしていい?勿論いいですよ、なんてあっさり答える自分を想像して鳥肌がたった。
ガラじゃない。
嫌なわけではなくとも、やはり自分らしさは大事にしたい。
白黒きっちりタイプな自分としては、勤務という黒の中に急に甘さの白を求められてもなかなか割り切れないのだ。
「………で、誰に何を吹き込まれたんですか?貴方は」
「え?」
「アンタが何か突拍子もないこと言い出すときは、大体下界絡みの何かだろ」
「正解!!…今日はさ、下界ではキスの日らしいんだよ」
…また何て露骨な日だ。
眉間によったシワを自覚しながら、鬼男は声を潜めて呟いた。
「……別にキスくらい、理由付けなくたってしてくるでしょう、アンタは」
「…だってさぁ………オレ達ってさ、ちゃんと言葉で確認してからする事、あんまりないじゃない」
「いや……それはだって、」
「…ふいうちで隙を見計らってとか、理由があってしかたなくとか、罰ゲームだとか…」
「…言葉がなくとも、雰囲気でわかるでしょう?」
「オレは、言葉もあげたいよ」
伏せられた瞼に力が込められ、まつげがふるふると揺れる。
なんだこの、妙な展開は。
いつのまにか雲行きが怪しくなってきた閻魔との会話に、ぎくりとする。
(ああ、やばい。このまま行くと絶対変な落ち込み方しだすぞ…このイカ)
もしくは、やっぱりいいやと、また苦笑いで飲み込んでしまうかもしれない。
そこまで考えた瞬間、鬼男の中にあった『自分らしさ』への意地は、あっさりと『閻魔優先』に傾いた。
「……っあーもう!しっかたないですねっ」
「え…いいの?!」
(ああくそっ…緩すぎだろ僕…)
ぱああっと途端明るくなった表情に、あいかわらずいそがしい人だなと思いながら。しぶしぶ、といった装いで頷いた。
まあ男には、たまには折れなきゃいけない時もある…と思うしかない。
…それを所謂惚れた弱みと呼ぶ事は、とっくに自覚している。
「ちゃっちゃとやって、さっさと終わして下さい」
さて、と覚悟を決めて目を閉じる。
…そのまま腕を組んでじっと待つが、どうにもこうにも落ち着かない。
男としてどうなんだろうこの図は。そう思うと、この無防備っぷりがなんとも情けない。
(……っていうか、まだかよ)
こっそり薄目を開けて見れば、目を瞑ってこわごわと顔を近付けて来る閻魔の顔があった。
それでもまだまだ触れるには程遠いが。
「……大王」
「…なに」
「まさか。照れてるんですか?普段あれだけ色々してくる癖に。今更」
「う、うるさいっ。黙って!!」
普段は思い切りが良いくせに、変な所で一歩引くというか腰を引くというか…改まると駄目なタイプ。
それが、閻魔という人物だということを鬼男はよく知っている。
「…………」
「…無理なら、」
「で、できるよ!ちょっと緊張してるだけだ!」
そして発破をかければあっさりと乗る、負けず嫌いな部分があることもよく知っている。
……まあそこが可愛くなくもないから、このまま直さずにいてほしかったりもする。
そんな、口にだしたら惚気にしかならないようなことを考えていた鬼男に、ようやく閻魔の唇が触れた。
「……っあー!やっぱ駄目だね!前置きあると凄い照れる…!!いつもと違うことはするもんじゃないねぇ」
ぱっと離れて。へらりと照れ笑い。
一人で勝手に自己完結をして、ご機嫌に笑っている閻魔を、鬼男はただただ見つめた。
「……………」
何だこの肩透かし。
(あれだけ前フリしといてお前………頬かよ!!)
【そうして今日も僕の負け】
END
+++++++
肩透かしムッツリオニオン。
誰も唇にするなんて言ってない。
残念だったね…!!(笑)
というわけでちゅーの日でした!!
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(6.2 一部修正)
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自己紹介:
名:べに釦(べに ぼたん)
性:凹
血:B
誕:聖チョコ祭り前日
・本能のままに生きる20代の社会人(斜怪人?)
・基本的に人見知りチキン
・下手の横好きな文字書き。落描きもする
・マイナー/雑食/熱しにくいが火が点くと一瞬。そして永い
・ギャップもえ。基本的に受けっ子さん溺愛
・好きキャラをいじめ愛でるひねくれ者
・複数CPの絡むとかもう大好物。らぶ!
・設定フェチ。勝手に細かい裏設定を偽造して自家発電
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誕:聖チョコ祭り前日
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