※はじめましての方は『※はじめに』をご一読下さいませ(心の自己防衛)
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『あと四、五分もすればお前にもわかるよ。そして、きっと…』
※妹太
※唐突に始まり唐突に終わる
※流血表現あり
※色々とドス黒い
※途中、名無しの第三者×太子な描写あり
※妹太と言い張ります。ええ、妹太ですとも!
以上が許せる方。
続きを~よりどうぞ。
++++++++++++++
※妹太
※唐突に始まり唐突に終わる
※流血表現あり
※色々とドス黒い
※途中、名無しの第三者×太子な描写あり
※妹太と言い張ります。ええ、妹太ですとも!
以上が許せる方。
続きを~よりどうぞ。
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喉元に突き付けた銀色が、じわりと赤く染まるのを甘受しながら男が笑う。
私はそういう嗜虐趣味はないんだけどなぁー、なんて肩をすくめてへらり。
(ああなんと、危機感のない笑みであろうか)
その余裕さは果たして器の大きさからくるのか、はたまた単に馬鹿なだけなのか。
多分相乗効果なんだろう、と結論付けて、その袖を強く引きながら足を払った。
「……っおあおうっ?!」
どすんと派手な音をたてて、その無駄に縦に伸びた目障りな背丈は一瞬で役立たずになる。
(そうだ、これでいい)
前々から、この、総てを見透かすかのような眼差しに見下ろされるのがそれはもう気に入らなかったのだ。
ぎちりと軋んだ床の上に広がる衣の色は、紫。
小太刀を押し当てれば、優美な刺繍もあっけなく糸屑になる。
たとえどんなに高価で仕立てが良い衣であれ、所詮はただの布と糸の造形物を纏っているにすぎない。
いざという時には、こんなにも無力なのだ。
日頃、この人物が好んで着衣しているあの青い衣装であっても、きっとそれは変わらない事実であろう。
なんせあれはあれで、他者による着脱が容易に違いないのだから。
「気分はいかがです?」
「良いわけないだろが」
床に転がされた張本人は、食い込んだ縄が痛いのか顔をしかめながら、自由を制限された体を小さく身動がせた。
だがそれでも暴れ出す様子はみられない。
(…なんだ、つまらない)
少しだけ落胆する。
普段があの奇行なのだから、さぞや愉快な拒絶を見せてくれると思ったのだが。
何をする、だとか何なんだ、というおきまりの疑問符や罵倒が出ない辺り、どうやらこの賢人はこれから自分がどんな目に合わされるのか薄々わかっているらしい。
「今、何をお考えで?」
「…意外だなぁって。そういう趣味があったのか、お前は」
「いいえまさか。……上に立つ者が、下位の下賎な族に辱められる…これ以上の屈辱はないだろうなと思っての行動ですよ」
「…うっわぁ…それは髄分と、良い趣味だ」
「お褒め頂き光栄ですよ、摂政殿」
組み敷いた聖徳太子その人の、薄っぺらい体。
今ここで刃を突き立てれば、彼の命は確実に消えるのだ。
個人としては奇人でも、摂政としての彼の功績は偉人そのもの。
その彼を失うことは、この国の未来にどれだけの損失を生むだろう?
国を左右する人物の命を自分が握っているという、この優越感。
いわば今、自分の手の中に倭国がある。
堪らなくその事実に興奮する。
「…まあ、自分には男色の気はありませんが…」
征服欲や加虐心は人並み以上にありますよ。
そういってにたりと笑ってやると、流石に押し黙った。
「…一応、忠告しておくぞ?馬鹿な真似はやめときんしゃい。今ならまだ、引けるんだ」
やっと見せた真顔と、諭すような口調。
ああ下手な虚勢をと笑い、ぎちりとその首に手を掛けた。
「はは。貴方でも、そんな人並みな対応できるんですね?」
ぴくりと肩がはねたが、抵抗は見られない。
その強がりがいつまでもつか、とさらに力を込めると、くくくと彼が笑った。
「…気でも触れましたか?」
「別にぃ?」
「つまらぬ意地は身を滅ぼしますよ」
「意気地無し、よりは恰好良いじゃないか」
「戯れ事を……!」
ぎらりと光る刃の切っ先を、その胸元に押し当てた。
びっ、と耳障りな音とともに裂ける布地。
現れた日に焼けた跡ひとつない肌は、うっすらと滲んだ鮮血でより青白く見える。
「ここまでされているのに。……先ほどから、何故それほどまでに穏やかなんですか…」
最初こそは、余裕振るのも今のうちだ、と見下していたが。いくら何でも緊張感がなさすぎる。
あまりに動揺の見られぬ態度に、段々こちらが焦りを覚えてきた。
「…っはは。そりゃなぁ」
「…何がおかしいんです。何を、そんな笑って…」
「だってなー。…私、信じちゃってるから」
ふんわりと、場に似つかわしくない仕草で笑う。
…主語のないその言葉の意図がわからない。意味も分からない。
それは、こちらの忠義のことか?あいにくそんなもの自分は端から持ち合わせていないのに。
ますます焦るこちらを見て、寝転がったままの摂政がやれやれと肩をすくめてみせた。
「そうだなぁ……まあ、あと四、五分もすればお前にもわかるよ。そしてきっと………悔いる」
何をまたハッタリを、と口を開こうとして。
しかしその言葉に答える声は、自分の背面から響いた。
「いいえ、一分もいりませんよ」
振り返る間もなく、首裏が締まる感触。
一瞬の浮遊感とともに、まるで荷物でも持ち上げるかの様に、組み敷いていた太子から引きはがされる。
「っなっ……?!」
反射的に上げた声は、鳩尾にやってきた衝撃に打ち消され言葉にならなかった。
吐き気と、鈍痛。
崩れ落ちながら、霞む視界にその姿をとらえる。
声では分からぬその正体も、一瞬にして脳裏で結びついた。
穏やかな声色の主。
微笑むその容姿に、思い出したのは赤。
青と同等に、語られる人物。
自分はそこでようやく、あののらりくらりとしていた男の態度の真相を理解した。
…そして哀れむようなあの目線の、意味も。
「まあ、悔いた所で…もう遅いんですけどね」
その細められた目に宿る静かな炎が、その感情すべてを必要以上に伝えてきた。
その理解はすでに手遅れなのだ、と。
「あー……頼むから程々に、穏便にな。妹子」
「無理な相談ですがまあ殺しゃしませんよ。半分ぐらいは」
「目が笑ってないよこの毒妹子…!」
ひどく後悔した。
ああ、なんてとんでもないものに触れてしまったのだろう。
自分の辿る末路やその先に対しての恐怖以上に。
目の前にある事実に対して、自分は本能的に怯えている。
こんな場面でそんな戯言を言える二人の、その精神より何より。
先ほど垣間見得た、その絶対的な信頼関係がただ自分には恐ろしかった。
その二つの手のひらに乗ったこの国の未来に戦慄する。
倭国は、なんと末恐ろしい柱によって掲げられているのか。
(ああけれど、)
【今更わかった所で、もう】
END
+++++++++++++
妹子視点とみせかけていたつもり、でした。
(分かりにくい!!笑)
表面と内面で温度差があるのって、悶えます。
あまりに強い信頼故なんかもう当たり前すぎて、他者から見るとわからないけれど実はこんなにも…的な…!!のがやりたかった!
(そして大分見失った)
こういうどんでんがえし、大好きです(笑)
少しでも騙されてくださった方がいれば嬉しい。
有難うございました!
H21.12.10
私はそういう嗜虐趣味はないんだけどなぁー、なんて肩をすくめてへらり。
(ああなんと、危機感のない笑みであろうか)
その余裕さは果たして器の大きさからくるのか、はたまた単に馬鹿なだけなのか。
多分相乗効果なんだろう、と結論付けて、その袖を強く引きながら足を払った。
「……っおあおうっ?!」
どすんと派手な音をたてて、その無駄に縦に伸びた目障りな背丈は一瞬で役立たずになる。
(そうだ、これでいい)
前々から、この、総てを見透かすかのような眼差しに見下ろされるのがそれはもう気に入らなかったのだ。
ぎちりと軋んだ床の上に広がる衣の色は、紫。
小太刀を押し当てれば、優美な刺繍もあっけなく糸屑になる。
たとえどんなに高価で仕立てが良い衣であれ、所詮はただの布と糸の造形物を纏っているにすぎない。
いざという時には、こんなにも無力なのだ。
日頃、この人物が好んで着衣しているあの青い衣装であっても、きっとそれは変わらない事実であろう。
なんせあれはあれで、他者による着脱が容易に違いないのだから。
「気分はいかがです?」
「良いわけないだろが」
床に転がされた張本人は、食い込んだ縄が痛いのか顔をしかめながら、自由を制限された体を小さく身動がせた。
だがそれでも暴れ出す様子はみられない。
(…なんだ、つまらない)
少しだけ落胆する。
普段があの奇行なのだから、さぞや愉快な拒絶を見せてくれると思ったのだが。
何をする、だとか何なんだ、というおきまりの疑問符や罵倒が出ない辺り、どうやらこの賢人はこれから自分がどんな目に合わされるのか薄々わかっているらしい。
「今、何をお考えで?」
「…意外だなぁって。そういう趣味があったのか、お前は」
「いいえまさか。……上に立つ者が、下位の下賎な族に辱められる…これ以上の屈辱はないだろうなと思っての行動ですよ」
「…うっわぁ…それは髄分と、良い趣味だ」
「お褒め頂き光栄ですよ、摂政殿」
組み敷いた聖徳太子その人の、薄っぺらい体。
今ここで刃を突き立てれば、彼の命は確実に消えるのだ。
個人としては奇人でも、摂政としての彼の功績は偉人そのもの。
その彼を失うことは、この国の未来にどれだけの損失を生むだろう?
国を左右する人物の命を自分が握っているという、この優越感。
いわば今、自分の手の中に倭国がある。
堪らなくその事実に興奮する。
「…まあ、自分には男色の気はありませんが…」
征服欲や加虐心は人並み以上にありますよ。
そういってにたりと笑ってやると、流石に押し黙った。
「…一応、忠告しておくぞ?馬鹿な真似はやめときんしゃい。今ならまだ、引けるんだ」
やっと見せた真顔と、諭すような口調。
ああ下手な虚勢をと笑い、ぎちりとその首に手を掛けた。
「はは。貴方でも、そんな人並みな対応できるんですね?」
ぴくりと肩がはねたが、抵抗は見られない。
その強がりがいつまでもつか、とさらに力を込めると、くくくと彼が笑った。
「…気でも触れましたか?」
「別にぃ?」
「つまらぬ意地は身を滅ぼしますよ」
「意気地無し、よりは恰好良いじゃないか」
「戯れ事を……!」
ぎらりと光る刃の切っ先を、その胸元に押し当てた。
びっ、と耳障りな音とともに裂ける布地。
現れた日に焼けた跡ひとつない肌は、うっすらと滲んだ鮮血でより青白く見える。
「ここまでされているのに。……先ほどから、何故それほどまでに穏やかなんですか…」
最初こそは、余裕振るのも今のうちだ、と見下していたが。いくら何でも緊張感がなさすぎる。
あまりに動揺の見られぬ態度に、段々こちらが焦りを覚えてきた。
「…っはは。そりゃなぁ」
「…何がおかしいんです。何を、そんな笑って…」
「だってなー。…私、信じちゃってるから」
ふんわりと、場に似つかわしくない仕草で笑う。
…主語のないその言葉の意図がわからない。意味も分からない。
それは、こちらの忠義のことか?あいにくそんなもの自分は端から持ち合わせていないのに。
ますます焦るこちらを見て、寝転がったままの摂政がやれやれと肩をすくめてみせた。
「そうだなぁ……まあ、あと四、五分もすればお前にもわかるよ。そしてきっと………悔いる」
何をまたハッタリを、と口を開こうとして。
しかしその言葉に答える声は、自分の背面から響いた。
「いいえ、一分もいりませんよ」
振り返る間もなく、首裏が締まる感触。
一瞬の浮遊感とともに、まるで荷物でも持ち上げるかの様に、組み敷いていた太子から引きはがされる。
「っなっ……?!」
反射的に上げた声は、鳩尾にやってきた衝撃に打ち消され言葉にならなかった。
吐き気と、鈍痛。
崩れ落ちながら、霞む視界にその姿をとらえる。
声では分からぬその正体も、一瞬にして脳裏で結びついた。
穏やかな声色の主。
微笑むその容姿に、思い出したのは赤。
青と同等に、語られる人物。
自分はそこでようやく、あののらりくらりとしていた男の態度の真相を理解した。
…そして哀れむようなあの目線の、意味も。
「まあ、悔いた所で…もう遅いんですけどね」
その細められた目に宿る静かな炎が、その感情すべてを必要以上に伝えてきた。
その理解はすでに手遅れなのだ、と。
「あー……頼むから程々に、穏便にな。妹子」
「無理な相談ですがまあ殺しゃしませんよ。半分ぐらいは」
「目が笑ってないよこの毒妹子…!」
ひどく後悔した。
ああ、なんてとんでもないものに触れてしまったのだろう。
自分の辿る末路やその先に対しての恐怖以上に。
目の前にある事実に対して、自分は本能的に怯えている。
こんな場面でそんな戯言を言える二人の、その精神より何より。
先ほど垣間見得た、その絶対的な信頼関係がただ自分には恐ろしかった。
その二つの手のひらに乗ったこの国の未来に戦慄する。
倭国は、なんと末恐ろしい柱によって掲げられているのか。
(ああけれど、)
【今更わかった所で、もう】
END
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妹子視点とみせかけていたつもり、でした。
(分かりにくい!!笑)
表面と内面で温度差があるのって、悶えます。
あまりに強い信頼故なんかもう当たり前すぎて、他者から見るとわからないけれど実はこんなにも…的な…!!のがやりたかった!
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名:べに釦(べに ぼたん)
性:凹
血:B
誕:聖チョコ祭り前日
・本能のままに生きる20代の社会人(斜怪人?)
・基本的に人見知りチキン
・下手の横好きな文字書き。落描きもする
・マイナー/雑食/熱しにくいが火が点くと一瞬。そして永い
・ギャップもえ。基本的に受けっ子さん溺愛
・好きキャラをいじめ愛でるひねくれ者
・複数CPの絡むとかもう大好物。らぶ!
・設定フェチ。勝手に細かい裏設定を偽造して自家発電
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