※はじめましての方は『※はじめに』をご一読下さいませ(心の自己防衛)
---更新凍結中---
---更新凍結中---
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
・鬼閻で賽日(の前日)ネタ
・鬼っ子空回り気味
・ただのバカップル
遅刻便乗!色々ひっどいですが…許せるという猛者は続き~よりどうぞ。
++++++++++++++
・鬼っ子空回り気味
・ただのバカップル
遅刻便乗!色々ひっどいですが…許せるという猛者は続き~よりどうぞ。
++++++++++++++
「それじゃ、よい賽日を」
穏やかな口調で微笑んで、こちらの返答を聞くことなくくるりと背をむける。
親しみの込もった、けれど遠くに心を置いているともとれるようなきれい過ぎる笑顔を残し。
次第に遠ざかっていく閻魔の背中を、鬼男はただただ静かに見送った。
「…何考えてるんだ、あのアホイカ大王……」
内心は大混乱で。
付き合い始めてからもう幾十回目かのこの日。
年に二回の閻魔賽日。
鬼も亡者もお勤め不要。天獄を統べるこの閻魔庁も、この日ばかりはその機能を完全に停止させる。
いわゆる人の世で言う所の、公休日。
当たり前のように誘う閻魔を、当たり前のように鬼男が受け入れて。
15日から16日へと日付を跨ぐその瞬間を何度も共に迎えて、終わるその時をも共に過ごしてきた。
それが、上司部下としてではない、恋人としての二人の過ごし方だった。
しかし今回、7月16日を目前にしたこの日に至るまで。
いつもならば、ありとあらゆる遊び心を含ませたお誘いをけしかけてくる閻魔が、鬼男に対して全くそのそぶりを見せなかった。
そうしているうちに15日の業務は終了。
その上、先ほどの言葉を頂戴してしまったのだ。
「何かやらかしたっけ、僕…」
機嫌を損なうようなあれこれがあったか…とここ数日をずっと考えてみるのだが。
やっぱり全く思い当たらない。
(…ああもう…やめたやめた!馬鹿らしい!!)
なんだかもう、このまま不効率に頭を悩ませる時間が勿体ない。
非があるなら詫びるまでだし、巧妙な悪ふざけならば制裁あるのみだ。
回りくどく悩むより、直球勝負。
鬼男はそう結論を出し歩きだした。
案外、とても焦っている自分に惚れた弱みを再認識。
矢印の向かう先は、結局ただ一人しかいないのだ。
+++++++
「って……なんでもう寝てるんだよこのオッサン…!!」
部屋を尋ねて、数分後。
呼べども返らぬ返事に痺れを切らして手をかけた扉は、あっさり開いた。
(あれ程カギは閉めろと言ってるのに…あの馬鹿は…!)
無用心さを憤りながら部屋に足を踏み入れて。
寝台の上、蚕の繭みたいに縮こまったそれを目にした瞬間、先ほど決意した詫び云々のあれこれ計画が一瞬にして崩れた。
白いシーツと掛け布団の隙間でうごめきながら、くかくか寝息をたてている塊。
(清々しいまでにマジ寝かこの野郎…それとも、狸か?)
体の条件反射で思わず、いつもと同じノリで足蹴にしてしまった。
「……ん…」
「お目覚めですか」
「…なんなの?」
「…何、はむしろこっちの台詞なんですが」
不機嫌さを顕にしたその低い声に、負けじと鬼男が険悪な口調で言い放つ。
するとシーツからぬるりとはい出た白い指先が、鬱陶しそうに掛け布団を払って。
ぼんやりと虚ろな眼差しが、鬼男を捉えた。
「あ。……なーんだ、鬼男くんじゃないか」
途端、尖っていた声がほろりとまるくなり、視線の冷たさが拡散する。
いつもどおりな空気を肌と耳で感じて、苛立ちやら不安やらで荒れていた鬼男の気持ちが安堵ですこしだけ凪いだ。
(ああ…この人は僕を拒んでいたわけじゃ、ないのか)
ほっとしたと同時に、しかしそれはそれで新たな不満を生んだ。
まあ恐らく気配すら読まぬ程の深さで、本当に熟睡していたのだろうけれど。
……そういう無防備は自分の隣だけにしろ、と。
「で。何してんですか、アンタ」
「……えー…人を踏み起こしといて君、そんなこと聞くの…」
あふ、と欠伸を噛み殺した閻魔が、とろとろとした口調で話す。
どこからどう見ても寝てたでしょうがオレ。と、へらり。
その態度のゆるさに、鬼男の中にじりじりと苛立ちが芽生えてくる。
(聞きたいのは、だからなんで寝てるんだ、とそういう部分だというのに)
「…寝るには、早すぎません?」
「今回のオレは寝正月ならぬ寝賽日なんですー」
「…まさか、貴重な一日をそうやって無駄に寝て過ごす気なんですかアンタ?!」
「む、無駄って君…」
今の鬼男の閻魔に対するこの態度は、ただの理不尽な八つ当たりでしかない。
勝手なのはわかってる。
けれど。
「まあ、そう怒鳴んないでよー。っていうか、オレがオレにあてがわれた公休をどう使おうとオレの勝手だろー?」
…わかってははいるが。
その一言は、元より短い導火線に確実に火をつけてしまった。
→後編
+++++++
長いので分割。
H22.7.16
穏やかな口調で微笑んで、こちらの返答を聞くことなくくるりと背をむける。
親しみの込もった、けれど遠くに心を置いているともとれるようなきれい過ぎる笑顔を残し。
次第に遠ざかっていく閻魔の背中を、鬼男はただただ静かに見送った。
「…何考えてるんだ、あのアホイカ大王……」
内心は大混乱で。
付き合い始めてからもう幾十回目かのこの日。
年に二回の閻魔賽日。
鬼も亡者もお勤め不要。天獄を統べるこの閻魔庁も、この日ばかりはその機能を完全に停止させる。
いわゆる人の世で言う所の、公休日。
当たり前のように誘う閻魔を、当たり前のように鬼男が受け入れて。
15日から16日へと日付を跨ぐその瞬間を何度も共に迎えて、終わるその時をも共に過ごしてきた。
それが、上司部下としてではない、恋人としての二人の過ごし方だった。
しかし今回、7月16日を目前にしたこの日に至るまで。
いつもならば、ありとあらゆる遊び心を含ませたお誘いをけしかけてくる閻魔が、鬼男に対して全くそのそぶりを見せなかった。
そうしているうちに15日の業務は終了。
その上、先ほどの言葉を頂戴してしまったのだ。
「何かやらかしたっけ、僕…」
機嫌を損なうようなあれこれがあったか…とここ数日をずっと考えてみるのだが。
やっぱり全く思い当たらない。
(…ああもう…やめたやめた!馬鹿らしい!!)
なんだかもう、このまま不効率に頭を悩ませる時間が勿体ない。
非があるなら詫びるまでだし、巧妙な悪ふざけならば制裁あるのみだ。
回りくどく悩むより、直球勝負。
鬼男はそう結論を出し歩きだした。
案外、とても焦っている自分に惚れた弱みを再認識。
矢印の向かう先は、結局ただ一人しかいないのだ。
+++++++
「って……なんでもう寝てるんだよこのオッサン…!!」
部屋を尋ねて、数分後。
呼べども返らぬ返事に痺れを切らして手をかけた扉は、あっさり開いた。
(あれ程カギは閉めろと言ってるのに…あの馬鹿は…!)
無用心さを憤りながら部屋に足を踏み入れて。
寝台の上、蚕の繭みたいに縮こまったそれを目にした瞬間、先ほど決意した詫び云々のあれこれ計画が一瞬にして崩れた。
白いシーツと掛け布団の隙間でうごめきながら、くかくか寝息をたてている塊。
(清々しいまでにマジ寝かこの野郎…それとも、狸か?)
体の条件反射で思わず、いつもと同じノリで足蹴にしてしまった。
「……ん…」
「お目覚めですか」
「…なんなの?」
「…何、はむしろこっちの台詞なんですが」
不機嫌さを顕にしたその低い声に、負けじと鬼男が険悪な口調で言い放つ。
するとシーツからぬるりとはい出た白い指先が、鬱陶しそうに掛け布団を払って。
ぼんやりと虚ろな眼差しが、鬼男を捉えた。
「あ。……なーんだ、鬼男くんじゃないか」
途端、尖っていた声がほろりとまるくなり、視線の冷たさが拡散する。
いつもどおりな空気を肌と耳で感じて、苛立ちやら不安やらで荒れていた鬼男の気持ちが安堵ですこしだけ凪いだ。
(ああ…この人は僕を拒んでいたわけじゃ、ないのか)
ほっとしたと同時に、しかしそれはそれで新たな不満を生んだ。
まあ恐らく気配すら読まぬ程の深さで、本当に熟睡していたのだろうけれど。
……そういう無防備は自分の隣だけにしろ、と。
「で。何してんですか、アンタ」
「……えー…人を踏み起こしといて君、そんなこと聞くの…」
あふ、と欠伸を噛み殺した閻魔が、とろとろとした口調で話す。
どこからどう見ても寝てたでしょうがオレ。と、へらり。
その態度のゆるさに、鬼男の中にじりじりと苛立ちが芽生えてくる。
(聞きたいのは、だからなんで寝てるんだ、とそういう部分だというのに)
「…寝るには、早すぎません?」
「今回のオレは寝正月ならぬ寝賽日なんですー」
「…まさか、貴重な一日をそうやって無駄に寝て過ごす気なんですかアンタ?!」
「む、無駄って君…」
今の鬼男の閻魔に対するこの態度は、ただの理不尽な八つ当たりでしかない。
勝手なのはわかってる。
けれど。
「まあ、そう怒鳴んないでよー。っていうか、オレがオレにあてがわれた公休をどう使おうとオレの勝手だろー?」
…わかってははいるが。
その一言は、元より短い導火線に確実に火をつけてしまった。
→後編
+++++++
長いので分割。
H22.7.16
PR
この記事にコメントする
♥ カテゴリー ♥
♥ カレンダー ♥
03 | 2024/04 | 05 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
28 | 29 | 30 |
♥ WEB拍手 ♥
8/7 日和文2種
(鬼閻/妹太)
(鬼閻/妹太)
♥ ブログ内検索 ♥
♥ プロフィール ♥
HN:
べに釦
性別:
女性
自己紹介:
名:べに釦(べに ぼたん)
性:凹
血:B
誕:聖チョコ祭り前日
・本能のままに生きる20代の社会人(斜怪人?)
・基本的に人見知りチキン
・下手の横好きな文字書き。落描きもする
・マイナー/雑食/熱しにくいが火が点くと一瞬。そして永い
・ギャップもえ。基本的に受けっ子さん溺愛
・好きキャラをいじめ愛でるひねくれ者
・複数CPの絡むとかもう大好物。らぶ!
・設定フェチ。勝手に細かい裏設定を偽造して自家発電
さらに濃ゆい版の詳細は※
こちら←
性:凹
血:B
誕:聖チョコ祭り前日
・本能のままに生きる20代の社会人(斜怪人?)
・基本的に人見知りチキン
・下手の横好きな文字書き。落描きもする
・マイナー/雑食/熱しにくいが火が点くと一瞬。そして永い
・ギャップもえ。基本的に受けっ子さん溺愛
・好きキャラをいじめ愛でるひねくれ者
・複数CPの絡むとかもう大好物。らぶ!
・設定フェチ。勝手に細かい裏設定を偽造して自家発電
さらに濃ゆい版の詳細は※
こちら←
♥ 解析 ♥