♥ ５／１８ 更新報告＋お知らせ

【５／１８迄の更新分】
・拍手更新（計3種）
・拍手過去ログ収納
・企画サイトリンク追加
（参加１件＋応援１件）

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　…というわけで改めましてご報告です！
　６／１３日和オンリー発行予定の『鬼閻文庫本企画』に参加させていただくことになりました…！！
　告知サイトさまをトップにぺたりと張りました。詳しくはそちらをどうぞー。

　総勢１０名が、それぞれ割り振られたお色をテーマにお話を書いております。
　めくってもめくっても鬼閻小説！という素敵企画…！
　なんといっても参加者さま方の豪華さったら凄いですよ…！
（一匹明らかに浮いたのが居ますが）

　お誘いいただいた時は、驚きのあまり人違いなんじゃないかしら…！！と思わず確認をしてしまいました…笑（マジ話）
　大好きな文字書きさんばかりでもう、参加者として以上に読者としてとても楽しみです…ｖ
　書かせていただいて改めて、ああ私、鬼閻が大好き！！…と再確認。
　素敵な機会を下さった企画者さま方に大感謝です…！

　そして、某さま主催の素敵鬼閻現パロアンソロもこっそり応援リンク貼らさせていただきましたｖ
　学生×リーマン…美味しすぎますね。絶対買う…！！

以上！
…なんだかトップが鬼閻ハーレム（笑）

♥ 浮上！

　携帯から今日和！
　改めまして…こちらではお久しぶりなべに釦です…！
　あわわ…手風呂にはちまちま出現してましたが、サイト更新はすっかり放置気味ですみませんでした…！

　都外への引っ越しによって始まった早朝通勤地獄も、ぼちぼち自分ペースを掴めてまいりました。
　通勤も妄想で乗り切ればいいじゃない！奇跡的に座れれば執筆もできるよ！
みたいな心のゆとり…いやオタ魂？が徐々に回復しつつあります（笑）

…というわけで浮上宣言！

　まあ元々亀さん更新サイトなのではございますが…気持ち的にね…！（笑）
　また色々、じんわりのんびり燃えを叫んでいけたらなあと思います。


　しかし…６月に入るとまた、ヒヨラーとしてはオンリー。
　サンホラーとしてもイド発売そして生誕祭！…とお祭りがたくさんあるので楽しみ過ぎると同時に時間が…！

　なんとも嬉しい悲鳴。
　浮かれて色々疎かにしないように頑張ります…！！


　とりあえず…こっそり打つだけは打ってあるラブレター抱えて、挨拶まわりを…！！
　……出来たらいいなぁ（弱っ）

お家帰ったら企画についてリンク貼らせていただきますｖ

♥ 選択課題：拍手ログ（第二弾）

『選択課題・ラブラブな二人へ』
⇒お題一覧

拍手お題ログ第２弾、収納！
ケン藤→鬼閻→妹太（学パロ）
（H22.1～H22.5設置分）

【自転車二人乗り】　ケンジ（ケン藤）

【ディープキス】　閻魔（鬼閻）

【勉強を教えてもらう】　太子（妹太）※学パロ






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【自転車二人乗り（ケン藤）】


　街灯に照らされ揺れるいびつな影を、車輪で縫い付けるようにゆるやかに走る。

　あ、藤田の背中あったけーな。
　狼の時なんてもっと温かそうだ。なんせ毛皮だし。
　ぴたりと寄り掛かられた温度から、ああ冬なんだなぁなんて思いながら他愛もない会話が生まれては消えて。
　特別なんだって確認できる瞬間は、案外こういう隙間に堂々と落ちていたりする。

「…藤田ってさぁ」
「んー？」
「他のやつと２ケツする時、絶対漕ぐ側だよな。何で？」
「んー…だって、なんか悪いだろ」
「…ほー…俺には悪いとかは感じない、と」
「……ケンジだしなぁ」
「…振り落としてやろうかコノヤロウ」
「わわっ！蛇行するなよ危ないな！転ぶだろ！！」
「俺がそんなヘマするか」
「何だよその自信……ん？あれ？」
「？何だよ」
「いや……そういや、ケンジいつもは後ろに乗る側だよなー、って」
「あー…そうかもなぁ」
「理由とかあんの？」
「だって楽だろ、後ろ」
「……ケンジって時々、清々しくふてぶてしいよな」
「何言ってんだ、ちゃあんと漕ぎ手は選んで乗ってるんだよ俺は。転倒されても嫌だし」
「……まさかお前、いつも俺を後ろに乗せるのは…」
「……藤田だしなぁ」
「なんだよ！俺を信用してないのかよ？！」
「お前の力を信用してるからこそだって！」
「……お前それ馬鹿にしてんだろチクショー！ケンジ降りろ！俺が漕ぐ！！」
「やなこった！」


　教えてやらない。
　本当は、この構図だけはいつだって俺とお前が指定席でいたいだけ。なんて。

（遠慮…なんて線引きのない間柄だとか。
そんな小さな信頼図を再確認しては喜んでる俺を、ふてぶてしいだなんて。
お前は全く酷い奴だよ）


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【自転車二人乗り（ケン藤）】

・ケンジが漕ぐのは藤田を乗せた時だけ。
・藤田が後ろに乗るのはケンジの運転だけ。

…だったら甘酸っぱいな、と！（嗚呼青春！！）


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【ディープキス（鬼閻）】



　一番最初に、深く深く絡まる口付けを仕掛けたのはオレの方から。

　唐突に、戯れに、けれど多大なる勇気を持って彼の領域へ踏み込んだのだ。


　不意打ちも意地の悪い算段も、仕掛ける分には大好きだし。
　余裕ぶって年上ぶりたかった、っていうのも勿論ある。
　なんせこの世に存在している年期が違うんだから。

　けれど本当は、さ。

　振り回して、焦らせて、困らせて。
　そこから見える仕草や感情から、君の真意を探ろうとしていたんだよ。
　そして、例え返されたものが負を交えた感情だったとしても構わない、と勝手に覚悟を決めて。
　深入りする前に、傷は浅いうちに。先回りして自分を護ろうとしていたんだ。

　本当、なんて狡くて不純で、身勝手な動機。


　ああでも。
　今となってはそんな狡さなんてとても可愛いものだったんだなぁ、なんて思えてしまうのだ。


「…こ…んっの！！…だから…なんでそう…いつも急なんだよっ…！」
「いや……反応が面白いから、つい」


　…というわけで、現実逃避終了。
　目の前の現実をくらくらしながら見据える。


「…ついって君ね……鬼男くん、君、前フリなしのエロいちゅー禁止っ…！」
「…前フリ、ねぇ。アンタがそれを言いますか？」
「うっ……！って、うわ…もうこれ以上は駄目だって！変なスイッチ入るだろっ…！」

　振り回して焦らせて、その結果がこれだよ…！
　いつのまにやら盛大などんでん返し。


「スイッチなんて、僕はもうずいぶん昔から入りっぱなしですけどね？」


　振り回して、先回り。
　そうして今日も君から、理不尽だけど嬉しい誤算。


（…嫌がられたらどうしよう、とか。結構真剣に悩んだオレがほんと馬鹿みたい）
（もうこうなったら、責任もって、果てまでふかぁく絡まってもらっちゃうよ？）
（いっそ心、そのものに）



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　閻魔は、諦めが前提にあるエセポジティブキャラなイメージ。
　そんな道化る閻魔の杞憂を、ばっきばっきへし折るのが鬼男くん。
　閻魔を良い意味で裏切って降参させて欲しい。

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【勉強を教えてもらう（妹太）】



「まず自分が、どこが解らないのかが分からないんですよ」

　真面目に言い放たれたのは、典型パターンお約束な台詞。

「…なるほど、それは難題だ。じゃあとりあえずこれとこれやってみんしゃい？」

　基本的なことは自力で何とかしてしまう勤勉な妹子の、珍しい弱音。
　私が茶化さずきちんと真面目に受け止めたのは、もちろん下心あってのこと。




「……こう、ですよね？」
「おー正解正解！…うん、公式も覚えてるみたいだし…やっぱり基本はできてるんだよなぁ、お前は頭の回転も早いし」

　かりかりと順調に解を生んでいく妹子のシャーペンが、終盤でぴたりと止まった。

　文系まっしぐらなこの芋は、とてもわかりやすく理数系が苦手。
　そしてそういうタイプが苦戦しがちなのが、テスト後半戦によく現れるこの魔物だ。


「うーん。やっぱり、あとは応用だなぁ」
「……聞きたくもない分野ですね」
「お前は馬鹿正直に正面から戦を申し込むのが敗因だよ。……あのな？ここを最初にこうしてさぁ………」
「…あー…………ああ！！」
「な？コツを一回掴んじゃえばもう大丈夫でおまー」

　数学って意外と簡単だろう？
　にんまり笑ってやると、厭味ですかと睨まれた。

「…まあ、簡単かはともかく…この単位はいけそうです。
有難うございます、流石腐っても干上がっても全国模試上位組ですね！」
「い、いちいち一言も二言も多いよお前…！」

　素直じゃない妹子の褒め言葉は、いつもどこかひん曲がっている。
　なんだよこのねじれ芋め！
　それでもちゃんと眼差しが柔らかいのが分かるから、許しちゃう私も私なんだけどさ。


「……まあいいけどさー。これでお芋のお手製芋弁当食べれるなら安いもんじゃい！」
「あー、はいはいわかってますよ。……こんなのでよければどうぞ」
「ひゃっほい、待ってました！いただきマサシー！！」

　待ちに待った下心に、舌鼓。
　早朝の部室で勉強会、なんて面倒の塊みたいなことを引き受けてやるんだから当然これくらいの見返りがなくてはな！

（実は家での朝ごはんを抜いてまで楽しみにしてたりするのは内緒だ）


「……お手軽な人ですよねー貴方も」
「お手軽くないよ！私、妹子のじゃなきゃここまでしないし……うわぁ卵焼き甘ーい！ウマっ！」
「…………太子」
「うん？」
「さっきの、は。……僕の弁当だから、ですか？それとも……教える相手が僕だから？」
「……ふふん。どっちもだ！」
「……他の奴にも同じこと言ってたら、ただじゃおきませんからね」
「お前こそ」
「僕はそこまでお手軽じゃないですよ」

　朝に似つかわしくない微笑みで、すいっと近付いてくる体温。
　果たしてこれは、どっちへの見返りなんだか。


（下心の向かう先は下心。きっと、お互いにな）


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　学パロ！
　理解早男と教え上手のタッグ＝無敵。
　妹子の言う『苦手』は他人から見たら厭味にしかきこえないようなレベルです。
（平均ちょい上くらい）

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拍手有難うございました！！

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♥ 拙宅の太閻太（語り）

拙宅の太閻太論…という名の私的燃えを叫んでみる。

かな－り前に叫んだ語りが聖魔コンビの存在としての対比論みたいな感じだったので、CP（？）的な意味での拙宅の定義…メンタル設定？的な。
（だらだら長いので折り畳み）

　拙宅の太閻太は、あくまでギリギリでnot恋愛です。

　すっごい仲良しなんだけども、その根本にあるのは利害の一致と傷の舐めあいと、それからなんかすっごい友愛。

　もう、限りなく恋愛に近いのに、決して恋にはならない愛情。
　だからこそ終わりなく、べったりと仲良しごっこができる。
　そんな聖魔コンビです。
　不毛です。
　でもそんな太閻太が大好きですみません…！笑

「二人（部下）が居なかったら、私たちきっと凄いラブラブカップルだったのにね」
って言いながら共犯者同士くすくす笑い合って、相互依存しててほしい。

　ハグとかちゅーとか普通にしちゃう。
　あはん、な関係については……読む分には私、どちらでもホイホイされますが…
　拙宅では……えー……身も蓋も無い話をすると……突っ込むまではしませんよ多分！（濁せよ！）

　だからこそ部下（※妹太・鬼閻が成立してる場合）にとってはタチが悪い二人です。
　そこがギリギリたる所以で、だからこそ部下は悔しいし腹立たしいといい。

　自分ではなれない関係だからね。
（だって自分は最後まで手、出しちゃうもの）


結論
→超絶仲良し

……あれ？´∀｀
長い長い前置きを全て台なしな、実にシンプルな結論に収まりました…（笑）

　何れにせよ…太子と妹子、閻魔と鬼男という関係ありきの太閻太なので…一途じゃないのがお嫌い方には不快かもしれません…スミマセンorz
（でもこのスタンスは変えられない）

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♥ ４／１７までの拍手お返事＋お知らせ

　わー、太閻太効果かぱちぱちたくさんいただけて嬉しいです。
　有難うございますｖ
　ぬおお、とこの勢いにのってハッスルしたい所ですがぼちぼち日常＆やるべきことに手が回らなくなってきましたので泣く泣くスローダウンいたします…。
　ちょっと４月一杯くらいしばらくもぐります。
　鬼閻と向き合ってきます…！！


↓以下、折り畳みにていただいた拍手のお返事ですｖ
（ぱちぱち下さった方も有難うございます！）

＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋

４／１６
◆◆太閻太以外にもお好きな前提…の方>>>

　はじめましてｖ質問ありがとうございます。
　私なんぞのシリーズ越え事情、気にかけていただいて嬉しいですｖ
　そうですね…一部の譲れない固定カプもございますが、読む分には基本雑食ですｖ（笑）
　むしろ苦手なものの方が本当に少ないくらいです。
　例えば…そうですね……曽閻とか曽太とか、嫌いじゃないです（ぽぽっ）
　一見仲の悪い妹閻妹も…嫌いじゃないです（笑）
（↑あまのじゃく！！）

　実は…書きだめて挫折したパロで、そんな風味なものも実はあるのです。
…にょただの、アッ！なオチになっちゃったりしたのだの何だのと…設定カオス過ぎてこれどうよ…みたいな（苦笑）
　でも…こうして見たいといっていただける方がいるのなら…！ちょっと…隔離部屋も考えてみます（単純！）

　ではでは…コメント有難うございましたｖ
　よろしければまた覗いてやってくださいませｖ


４／１７
◆◆朝倉真純さん>>

　わーいらっしゃいませ！後編の感想有難うございますｖ(*>ｖ<*)
　どれも勿体ないお言葉…！
　太閻太、絶妙バランスですか…有難うございます…！限りなく恋愛に似ているけれど恋にはなれない愛情、という面倒くさい二人が大好きだったりするのでそういっていただけると凄く嬉しいですｖ
　少しでもお気に召していただけたのなら…本望です…嬉しいですｖ
　きゅんと来て大好き…だなんてそんな…！むしろ私こそ真純さんの文章や優しさに全力きゅんですｖ　
　真純さんの感想は、私のよくわからん電波文からことごとく言いたいことを拾ってくださっていて、その名レシーバーっぷりに毎度ときめいてます…///

　…そして、無茶は言ってみるもんですね…！
　真純さんの太閻太…！そんな素敵な「いつか」が万が一来ましたらもう…！
　よろしくスルーどころかがっつり食らいついて離しませんですよ…！！
　奪い取らんばかりにがぶがぶしますｖ（恐っ）

　…おっといけない本性が…（笑）

　こんなべにですが、見捨てず怯えずどうか仲良くしてやってくださいませませ…！
　……実は日記見てうずうずしてたのですが…私もマッキーの曲…大好きなのです…いつか真純さんとマッキーネタで是非語り合い隊…！
（迷惑！）
（もしも本当に真純さん宅に語りに出没してしまったらすみません…）

　ではでは…お忙しい中、コメント本当に有難うございましたｖ



他、レス不要な方々も有難うございますｖ

……レス不要とのことですが、とても嬉しかったので一言だけ…！（スミマセン！）

◆◆「とける、春」…の方>>>
　いただいたその言葉、なによりの褒め言葉です…こちらこそ有難うございましたｖ

◆◆ディープキス鬼閻…の方>>>
　おおお…！！恐れ多いお褒めの言葉と情熱的な叫び、しかと受け取りました！有難うございます！


＋＋＋＋＋＋＋
以上、たくさんの拍手有難うございましたｖ
らぶです…！！

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♥ つみの、め（妹太／文）

『焼いても蒸してもイモは甘い、という常識が覆されたあの旅から』
『ずっと』

・妹太…（？）
・弱妹子
・やっぱり薄暗い



　…上記の事が大丈夫！という方は続き～よりどうぞ。

＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋

　焼いても蒸してもイモは甘い、という太子の常識が覆えされたのは彼との旅の中でだった。


　甘い顔に似合わぬそのあざとさ。ふてぶてしさ。
　妹子があまーい笑顔で繰り出す言葉は、高確率で太子をしょんぼりさせるものばかりだ。
　山葵の葉でもかじったかのようにしみるその後味。
　…つんつんなのだ。
　あまりに言うことなすことお辛いので、イモじゃなくて、ワサビの化身なんじゃないかと言ってやったこともある。

（このワサ子が！！といった次の瞬間には空手チョップで謝らされたけど）

　そして今日も。
　甘いはずの唇は、摂政たる自分ですら流せないような狂おしい毒を吐く。


【つみの、め】



「僕は貴方を尊敬してますし、その人としての在り方だって好いてます」


　そんな言葉が何の前置きもなく妹子から飛び出した瞬間、太子は己の失態に気がついた。
（…飲ませ過ぎた………っていうかこいつ、前より酔うの早くない？！）

　最近発覚した事実。
　摂取アルコールが己の限界値を越すと、妹子の言葉からあらゆる変化球が消える。
　良くも、悪くも。

　本人も自覚はあるらしく、だから僕はよほどの事がないかぎりは無茶な暴飲はしません…と、以前から言っていたのだけれど。

　…今日はどうやら、よほどのことがあった日らしい。
　ちょっと一杯どう？なんて誘った自分をちょっと悔いた。

（確かに一回も嫌ですよ、と断らず食いついたの、おかしいなとは思ったんだけど）

　酒によって外れたツンの蓋。
　飛び出した中身は普段は隠している、多分きっと本音だ。
　少しいびつな凹凸のついた、けれど若いてのひらが太子の右手をぎゅうと握った。

（…普段だったら手汗だなんだと触れもしないくせに）

「僕はあなたの背を守る盾であり、あなたの道を開く矛でありたいんです」
「えぇええ…矛盾してるぞ、妹子。例えが例えだけに」
「人なんてそういうものでしょう！！」

　力説と共に、あいている手のひらで胸倉につかみ掛かってくる。
　ひい、と反射的にのけぞった太子をじっと見据える妹子の目は、酔っているクセに、淀みも揺らぎも迷いすらなかった。


「僕は貴方だから。そんな貴方だから、護りたいんですよ。この身に引き換えたって構わないくらいに」
「………最後のは嬉しくない」
「でも、事実です」

　こういう時ばっかり素直に、随分とごつごつした言葉ながらも本音を伝えて来る。
　まっすぐ、誠実に。
　至近距離で放たれる妹子の言葉をゆっくりと脳内で噛み砕いてみれば、ああ成る程もしかして、と太子の脳裏にひとつの可能性が思い当たって。
　嬉しくない、との太子の言葉を聞いてからしかめっつらになったままのの妹子の頭を、仕方ないなぁとくしゃりと撫でてやった。


「……もしかして。なにか、私に関する嫌な話でも聞いちゃった系か？」
「……………」
「まあ、言いたくないなら聞かないけどさ。お前が気に病むことないんだからな」
「…………っ！」

　色素の薄い瞳に宿っていた、怒りとやるせなさの正体は知らない。
　けれど、自分のために憤ってくれているのはわかってしまった。
　太子、太子とうわごとみたいに呼ぶ妹子にひとつひとつ返事をして。
　かすれた声で名前をよばれて、泣きそうになった。


　これは上司冥利につきる、忠実な忠誠心。
　そして何より、彼のやさしさだ。



（ああ、でも私は、お前のそれが愛じゃないことが他のなによりも一番辛いよ）



　それでもお前が望むなら、と出来うるがきりにくしゃくしゃに笑ってやる。
　その優しさも。
　その都度生えるこの育たない芽も、一緒に摘み取ってきちんと食べてやろうじゃないか。

（焼いても蒸してもイモは甘い、という常識が覆されたあの旅から）
（私はそんな罪をもうずっと積み重ねている）



ＥＮＤ



＋＋＋＋＋＋＋


　敬愛と恋慕の違い。
　罪づくりな芽をまきちらすお芋。
　妹←太というかむしろ世間では太→妹というのかもしれない、これ。

　実はこっそり「とける、春」のアナザーです。
（こっそり反応をたくさんいただけたので、その嬉しさと感謝を還元…したかった）
（でも設定が設定なのでこうなる）

H22.4.19
H22.5.09 一部修正

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